こんにちは。三重県の中小企業診断士で経営支援、組織研修や業務改善研修をしていますエスモットです。
前回は経営者の視点から、中小企業が新入社員研修に外部講師を活用する意味をお伝えしました。今回は「新入社員本人にとっての意味」と「理想的な育成のかたち」をお伝えします。
【受講者の視点①】「会社のため」だけでなく「自分のため」の学びになる
社内研修は「当社ではこうしてください」が中心になりがちです。でも外部講師なら、より広い視点から「どの会社で働いても必要になる仕事の基本」として伝えられます。
これだけで受講者の納得感が大きく変わります。「会社に都合のよい教育を受けさせられている」ではなく、「自分がこれから社会人として働いていくための力を身につけている」と感じられるからです。
【受講者の視点②】「こんなことを聞いたら怒られるかな」を減らせる
新入社員は意外に多くのことが分かりません。でも「そんなことも知らないの?」と思われたくない。だから質問できない→分からないまま仕事をする→失敗する、という悪循環が起こります。
外部講師は直属の上司でも評価者でもありません。だからこそ「実はこんなことが分からない」「こういうときどうするのですか」という本音の質問を引き出しやすい環境がつくれます。
【受講者の視点③】「できない自分を確認する研修」ではなく「できるようになる方法を学べる」
「学生気分が抜けていない」「社会人の自覚が足りない」を何時間聞いても人は育ちません。必要なのは「これからどうすればできるようになるのか」を学ぶことです。
例えば報連相なら「報告しなさい」ではなく、いつ・何を・どの順番で伝えると伝わりやすいかまで具体化する。主体性なら「主体的になれ」ではなく、今の自分にできる小さな行動を考えさせる。受講者自身が気づき、考え、次の行動を決められるようにすることが研修講師の役割です。
【受講者の視点④】同期を「同じ日に入った人」から「相談できる仲間」に変える
中小企業では同期が2〜5人程度というケースも多い。研修の中で一緒に考え、失敗し、フィードバックし合うことで、困ったときに相談できる仲間に変わります。「自分だけ仕事ができないのではないか」という孤独な不安も、同期と話すことで和らぎます。
【受講者の視点⑤】会社の外に「物差し」を持つことができる
新卒入社の社員には比較対象がありません。外部講師は複数の企業と関わっているからこそ、「一般的にはこう考えます」「他社ではこんな方法もあります」という視点を提供できます。そして同時に、「社長と直接話せるのは、小さな会社だからこその良さだ」という自社の価値への気づきにもつながります。
「外部に任せれば育つ」は間違い。大事なのは役割分担
ここまで読むと「全部外部に任せればいい」と思われるかもしれませんが、それは違います。外部講師には教えられないことがたくさんあるからです。
- 経営者が語るべきこと:理念・ビジョン・会社の存在意義・新人への期待
- 上司・先輩が教えるべきこと:仕事内容・商品知識・顧客対応・社内ルール
- 外部講師が担うべきこと:社会人としての基礎・報連相・チームワーク・PDCA・振り返り
外部と内部は対立するものではなく、組み合わせるものです。
理想的な育成サイクルは「外→中→外→中」
新入社員研修は一日で終わらせてはいけません。理想的なサイクルはこうです。
- 入社直後(外部研修):社会人の基本・報連相・チームワーク・PDCAを学ぶ
- 会社に戻る:経営者から理念・ビジョン・期待を伝える
- 現場(OJT):上司・先輩から具体的な仕事を学ぶ
- 1か月後・3か月後(フォロー研修):「できたことは何か」「困っていることは何か」を振り返る
- 再び現場へ:次の行動目標を持って仕事をする
研修→実践→振り返り→再実践のサイクルが重要です。「知っている」を「やってみた」に変え、「やってみた」を「できる」に変えていくこと。これが人材育成の本質です。
最も避けたいのは「研修ではそう言っていたけど、うちでは違う」
これを言われると、研修の意味がほとんどなくなります。外部に依頼する前に、講師と会社側が研修目的を事前に共有することが極めて重要です。何を期待するのか、どんな人材になってほしいのか、研修後に何を実践してほしいのか。これが共有されて初めて、外部研修と社内育成が一本につながります。
「研修費が高いか」ではなく「何を社内でやるのが最も合理的か」で考える
外部講師費用と社内講師費用0円を単純に比較してはいけません。見るべきは社内講師の人件費・準備時間・教育品質・担当者によるバラつきなども含めた総コストです。そのうえで問うべきは、「社内の人しかできない教育に、社内の時間を使えているか」ということです。
「外で土台をつくり、中で自社の人材に育てる。」
中小企業にとって人は大切な経営資源です。だからこそ「外部に丸投げ」でも「すべて社内で抱え込む」でもない。必要なのは外部と内部の役割分担です。
外部講師の役割を一言で表すなら、こうなります。
外部講師は、社員を育てる代わりではない。社内での育成が機能するための土台をつくる存在である。
「研修をするか、しないか」ではなく、「この社員が3年後に自社で活躍しているために、入社直後にどのような土台をつくっておく必要があるのか」という視点から、ぜひ一度考えてみてください。
【新入社員研修・人材育成のご相談】
エスモット(中小企業診断士・数本優)まで、お気軽にご連絡ください。







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