人と組織の支援を通じて笑顔を生み続けるパートナー エスモットです。
先日、所属している団体の運営会議に出席し、活動計画と予算案について議論する機会がありました。
その中で改めて実感したのが、「経営支援の現場で重要視している視点は、組織運営のどんな場面でも活きる」ということです。
今回のブログでは、コンサルタントとして私が現場で活用している**“プロジェクト設計の基本フレーム”**と、それを組織運営に応用した実例をお伝えします。
なぜ「筋の通った設計」が周囲を動かすのか?
🔹課題:いい企画でも人が動かない理由
活動計画やイベント企画など、組織が何かを動かそうとするときに陥りがちなのが以下のような状況です:
- 「なんとなく良さそう」だが、誰も主体的に関わらない
- 一部の担当者だけが熱量を持ち、周囲がついてこない
- 会議ではOKが出たのに、実行フェーズで止まってしまう
これらは、設計の5要素が“つながっていない”ことに原因があります。
🔹構成要素:設計に必要な5つの視点
私は、以下の5項目を一貫させて企画を構築することを提案しています。
要素 | 説明 |
---|---|
目的 | 何のために行うのか(背景やビジョンとの接続) |
内容 | 具体的に何をするのか(行動の中身) |
効果 | どんな変化・成果が期待できるのか(アウトカムの可視化) |
ターゲット | 誰のために行うのか(ステークホルダーの明確化) |
予算 | リソースをどう活かすか(コスト対効果と配分の妥当性) |
これらが**“一本の軸”で貫かれているかどうか**が、企画が「応援される」か「他人事にされる」かの分かれ道になります。
ケース:団体会議での予算議論にて伝えたこと
実際の会議の中で、「この活動は必要だと思うけど、なぜこの規模の予算が必要なのか?」という質問が出ました。
私はこうお伝えしました。
「予算をつけることが目的ではなく、その活動でどんな効果を生むのか。さらに、それは“誰”にとっての効果なのか。その筋道が通っていないと、支援者・参加者ともに納得感を持てません。」
そして、予算提案の再構築を以下のように促しました:
- 目的とターゲットを結びつける(例:地域の若手経営者を育成する)
- 内容がターゲットの課題に直結しているか検証する
- 効果を数値または行動変化で可視化する(例:半年後の参加率や満足度)
- その上で必要な金額と使用配分を説明する
このプロセスを経ることで、参加者の納得感が高まり、企画が「共通の目標」へと昇華されていきました。
「期日意識」は行動レベルの設計に欠かせない
プロジェクトが動かないもう一つの大きな原因は、「期日」が設定されていない、または形骸化していることです。
🔹なぜ期日が重要か?
「いつまでに、何を、どれだけやるか」が明確になっていないと、行動が曖昧になります。
経営支援の現場でも以下のような状況によく直面します:
- 補助金申請の準備が間に合わない
- プロジェクトが中途半端なまま終了する
- メンバーの役割分担が不明確で責任があいまいになる
これを防ぐには、期日を“意識づけ”だけでなく、“行動設計”に落とし込むことが重要です。
🔹実務に活かせる「期日から逆算」チェックリスト
- 最終アウトプットの納期を設定する
- そのアウトプットを出すために必要な中間成果をリスト化する
- 逆算してスケジュールを組む(例:3ヶ月後が本番なら、1ヶ月後にはたたき台完成)
- 関係者と進捗の「見える化」を共有する
この「期日ベース設計」によって、チームのスピード感と連携精度が飛躍的に上がります。
地域・団体運営でも活かせるコンサルティング視点
今回のように、所属団体の会議においても経営支援で培った視点は非常に有効です。
実際に支援しているクライアント企業でも、以下のような成果を支援しています:
- 新規事業における企画立案(ターゲット明確化〜KPI設定)
- 組織再構築時のリソース配分とスケジュール設計
- 各種補助金・助成金の申請書支援(目的と効果の論理構成)
これらはすべて、「一貫性」と「期日」を軸に据えて構築してきたプロセスです。
中小企業診断士としての支援価値
私自身は中小企業診断士として、数多くの企業・団体支援を行ってきました。
この国家資格の価値は、単なる知識提供ではなく、実行フェーズにまで落とし込んで“成果”につなげる支援ができる点にあります。
- 戦略思考 × 実行力を橋渡しする設計支援
- 客観的立場からの合意形成支援
- リソース制約下での効果最大化アドバイス
こうした支援は、企業のみならず、地域団体、NPO、商工会、行政委託事業など、幅広い分野に応用可能です。
伝える・つなげる・動かす
今回の会議では、「目的・内容・効果・ターゲット・予算・期日」を一本で貫くことが、人と資源を“動かす”鍵であることを再認識しました。
中小企業の経営においても、地域や団体の活動においても、
「筋の通った設計」と「行動に結びつくスケジューリング」は不可欠です。
これからも、こうした視点をさまざまな現場で共有し、
“動ける組織”を増やすことに貢献していきます。
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