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防災士講座を通じて得た災害対応の知識を基に、企業が取り組むべきBCP策定のポイントを紹介。災害時に生き残るための経営戦略と地域連携の重要性を解説します。
人と組織の支援を通じて笑顔を生み続けるパートナー エスモットです。
地震、水害、土砂災害……日本で事業を営む以上、自然災害は「もしも」ではなく「いつか起こる」もの。先日、防災士の講座に参加し、個人・地域・企業がどのように災害に備えるべきかを学ぶ貴重な機会がありました。
特に企業にとって大切なのは、「事業継続計画(BCP)」の視点です。災害時、自社だけでなく、地域や取引先との関係を守るためには何が必要なのか。今回は、実際の災害支援の現場や復興過程の知見も交えて、企業にとって必要な備えと考え方を整理します。
災害の「現場」を知る:復旧には想像以上の時間がかかる
● 被災地では何が起きているのか?
講座で紹介された実際の災害では、被災直後から復旧に3年近くかかったケースもありました。ブルーシートが2年もそのまま、リフォームが始まるのが8か月後、完了が3年後という現実。災害が起きれば、泥棒が集まり治安も悪化します。これは遠い場所の話ではなく、明日自社に起こるかもしれない現実です。
ボランティアの役割と限界:企業も「受援力」が問われる
● 「ボランティア頼り」は限界がある
災害ボランティアは善意で動いていますが、以下のような制約があります。
- 写真撮影や活動報告には慎重な配慮が必要(信頼性の問題)
- どこに派遣されるかは現地の受け入れ状況による
- 現場の混乱により、活動が制限される場合も多い
企業としては、「助けてもらえるだろう」ではなく、「自力でどこまでできるか」「どうやって協力を得られる体制にするか」が重要です。
BCPの基本と策定のステップ
● BCPとは何か?
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や不測の事態が発生したときでも事業を継続・早期復旧するための計画です。単なるマニュアルではなく、経営戦略そのものといえます。
企業が取り組むべきBCPのポイント
1. 社長のリーダーシップがすべての起点
- 社長が主導し、事務局、キーマンを巻き込みながらプロジェクトチームを形成。
- 社内だけでなく地域や業界団体との連携がカギ。
2. シミュレーションと訓練の実施
- 想定される災害(地震・水害など)に対する避難訓練や業務再開訓練を定期的に行う。
- 「夜だったら?」「道が通れなかったら?」といった現実的な視点で見直す。
3. 情報整理と意思決定のプロセスを設計
- 災害直後の混乱時に「誰が、いつ、何を決めるか」までを明文化。
- 振り返りの仕組みも設け、PDCAを回す。
BCPが必要な業種と法的背景
以下のような業種は、BCPの策定が義務・推奨されています。
- 介護事業者:介護報酬制度により研修・訓練・策定義務化
- 大学・福祉施設:水防法により避難確保計画が義務
- 製造業:競合他社にシェアを奪われるリスクへの対応
地域連携BCPのすすめ:一社では限界がある
- 商工会議所や異業種連携で「共助」の仕組みをつくる
- 例:空き倉庫を事務所が被災した企業に貸し出す
- サプライチェーンの復旧にも、複数社での支援体制が必要
自然災害への備え:今すぐできる準備
● ハザードマップの活用
- 会社所在地が土砂災害警戒区域・浸水想定区域に該当していないか確認
- 「指定されていないから安全」とは限らない
● 耐震化と家具の固定
- 新耐震基準(1981年以降)でも油断は禁物
- 家具の固定や避難経路の確保など「ソフト対策」も忘れずに
従業員と企業を守るために
● 災害時に求められる行動の確認
- 「避難場所は?」「どのルートで行く?」「夜だったら?」
- 複数の避難経路、代替手段を用意
● 災害時の従業員支援
- 医療器具(メガネ・義歯など)の備蓄
- トイレ、食事、水、衛生環境の確保(エコノミークラス症候群予防含む)
まとめ:BCPは“企業の命綱”、備えが経営を守る
防災士講座を通じて実感したのは、「災害は突然やってくる。そして、備えていた企業だけが生き残る」という厳しい現実でした。
BCPは単なる計画ではなく、企業の持続可能性そのものを支える戦略です。経営者として、従業員と地域を守るための「一歩目」を、今すぐ踏み出しましょう。
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